乾癬/乾癬性関節炎のある方は健康な方よりも新型コロナウイルス感染症に関する不安、心配、疑問が多いのではないでしょうか。
このページでは乾癬と新型コロナウイルス感染症について、海外からの情報も含めて、お知らせします。
現時点で、乾癬/乾癬性関節炎のある人が、それがあること自体で健常人よりも新型コロナウイルスに感染しやすいことを示す証拠(エビデンス)はありません。したがって、一般的に推奨されている感染予防、すなわち、石鹸と流水による手洗い、三密を避ける、不要不急の外出を控えるといったことを心がけるようにしましょう。
また、生物学的製剤や免疫抑制剤など免疫系に作用する薬剤による乾癬治療が新型コロナウイルス感染症にどのような影響を及ぼすのかについては、まだ十分な情報がなく、世界的にコンセンサスの得られたガイドラインなどはありません。しかしながら、国内外の関連学会はそれらの薬剤の使用にあたって暫定的に以下のように推奨しています。
- 新型コロナウイルス感染症を疑わせるような症状のない方の場合、それらの治療を中止しなければならないという十分な根拠はありませんが、そのまま治療を継続するかどうかは個々の状況に応じて判断せざるを得ません。高齢者や併存疾患(心臓病、糖尿病、重度の高血圧、肝疾患、腎疾患、呼吸器系障害、悪性腫瘍、喫煙など)のある方が新型コロナウイルス感染症にかかった場合には、その症状がより重篤になるリスクがあります1-3。治療を継続するかどうか主治医とよく相談してください。
- 新型コロナウイルスの感染が検査などで確認されている方、あるいは、新型コロナウイルス感染症を疑わせるような症状のある方の場合、それらの薬剤の投与を中止または延期します。
- 生物学的製剤を自己注射で使用している方や免疫抑制剤を服用している方は、ご自身の判断で投与を中止または延期するのではなく、必ず主治医と相談の上、その指示に従ってください。体調が少しでも普段と違うと感じる場合に、すぐに主治医と密な連絡が取れるように準備しておくことが大切です。
1. Wang T, Du Z, Zhu F, et al. Comorbidities and multi-organ injuries in the treatment of COVID-19. Lancet. 2020.
2. Yang J, Zheng Y, Gou X, et al. Prevalence of comorbidities and its effects in coronavirus disease 2019 patients: A systematic review and meta-analysis. Int J Infect Dis. 2020.
3. Fang L, Karakiulakis G, Roth M. Are patients with hypertension and diabetes mellitus at increased risk for COVID-19 infection? Lancet Respir Med. 2020.
新型コロナウイルス感染症は私たちのこころにも深刻な影響を与えます。
International Federation of Psoriasis Associationでは私たちの気持ちに寄り添うビデオメッセージを発信しています。日本語字幕バージョンをYouTubeのINSPIRE JAPAN WPDチャンネルで公開しています。
また、日本赤十字社では感染症の怖さを、「病気」「不安」「差別」という3つの側面からとらえ、そのような中で今私たちができることを教えてくれるアニメーションビデオを公開しています。
こんなときだからこそ毎日の食生活について考えてみませんか?
毎日の食事は私たちの健康に直結しています。どんな食事が乾癬によいのかという質問には簡単には答えられませんが、健康のためにはバランスのよい食事をとることがよいといわれています。
しかし、今このような状況において、つい偏った食事になってしまったり、食べ過ぎてしまったりと、食生活が乱れがちになっている方もいるかもしれません。イギリスの乾癬患者団体では栄養士会と協力して新型コロナウイルス感染症の流行時における食事に関するアドバイスを行っています。ぜひ、こちらをご覧ください。
医学監修:あたご皮フ科 院長 中川秀己先生
あたご皮フ科 副院長 江藤隆史先生